大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)665号 判決

刑事訴訟規則第一九〇条第一項第四十四条第一項第三十号に依るときは証拠調は決定で之をしなければならず其の決定は之を公判調書に記載しなければならないのに拘らず原審第一回公判調書を閲すれば論旨摘録の各証拠につき之を取調べる旨の決定があつたことを明記されていないこと洵に所論の通りである。

併し乍ら右記載がないことのみによつて直ちに当該決定がなされなかつたものと速断することは出来ないのであつて公判期日に於ける訴訟手続中公判調書に記載されないものについては其の手続が公判審理に際し通常行われる種類のものであるか又は記録上之が行われたものと認め得る場合に於ては適法に之が為されたものと推認するに何等妨げあるものではない。

而して論旨摘録の各証拠は何れも検察官の取調申請に係り弁護人は之を証拠とすることに同意し裁判官は之を取調べた旨右公判調書に明記せられあり之等の記載及び公判期日に於て訴訟関係人の申請に係る証拠の取調をするに際つては其の旨の決定を宣することが極めて通常であるところよりすれば原審裁判官は右各証拠の取調に先立ち訴訟関係人の意見を聴き之を取調べる旨の決定を宣して適法に証拠調をしたことが容易に推認せられ右公判調書には右決定の記載を脱漏した点に於て瑕疵ありとはいえ固より判決に影響あるものでもなくこの一事によつて直ちに所論の如く原審が決定に基くことなく取調べた証拠を事実認定の資料に供した違法あるものと認めることは出来ない各論旨は理由がない。

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